「歌のメリーゴーラウンド」番組中の「ポケット劇場」として第一回から四回続けて放送された。番組前半の「今週のアルバム」と称されるレギュラー出演者(ときにゲスト)が歌を歌うコーナーと後半のスタジオにギャラリーとして迎えられたお客様とレギュラーが「歌って踊る」コーナーの間に挟まれて演じられた。上演時間は5〜6分と思われる。第四回は台本では6分5秒となっている。
制作に当たったのは、新進気鋭の詩人の高橋睦郎、クラシック作曲家の諸井誠、画家の横尾忠則という錚々たる面々であった。
ストーリーは、主人公のアヘイが妹のアシマを悪者親子のロプパラ(父親)と息子のアジノにさらわれたので知恵を働かせて救出する物語である。最終回となった第四回では、アヘイは首尾よくアシマを助け出すのであるが、故郷の村を目前にして、ロプパラ親子が山頂のため池の堤を切って起こした洪水によって別れ別れになったところで唐突に終わる(ように感じられる)。
なおポケット劇場は、これが最初で最後で、2作目が計画されていたようであるが放送されなかった。登場人物の会話も、ストーリーも歌で行われるが、日本合唱協会の発声はプロのものであるため、普通のテレビ視聴者、特に子供には聞き取りづらかっただろうと思われる。
(藤崎記)